話の種

会社の先輩の友達が
仕事で北欧に行っており、
そのお土産を箱に詰めて
家に送ってくれたらしい。


色々なものが詰まっていて
「色々あるなーって見ていたら
一個だけよくわかんないものが
出てきて」


何なのか分からないので
友達に連絡をとって
訊いてみると
「飴」だとかで。

え、これ食べ物だったの。
そう返したらしい。


とりあえず包装をといて
中身を取り出すと
グミに似た手触りの
四角い黒い塊で、
本当に飴なのかと不審に思い
外箱に書いてある
原材料表示を探してみるも
何語であるか分からず読めない。

アルファベットだけれど
英語でないし、知らない記号が付いているし。
読もうとしてみる。



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自分が持っていても
食べきれないからと
会社に持ってきた。


「何ですか、これ」
「世界一まずい飴」


昔、大阪のテレビ番組で紹介されたらしい。


先輩は何も言わず
外箱の表示を指で指して、
何だろうと
近寄って見てみれば
「ammoniumkloridia」。

アンモニウム…、く、ろ…!


塩化アンモニウムが入っている。


「大丈夫なんですか、食べ物として」
「俺は躊躇した」


七、八人で
先輩と箱を囲む中
一人が食べてみると言った。

え、黒い!
なにこれ、やわらかいっ
匂いは…、あんましない。

外観を観察後
皆が見守る中
口に入れ
「あれ、昆布みたいな」
考えながら舐めていた、
数秒後、
急に駆け出し
流しに吐きに行った。

むせている。




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やばい、まじ、もう、だめ。



それを見て
「じゃあ折角だし」
口に含む人が現れる一方で
「絶対、食べたくない」
逃げていく人もいた。


吐き出しても
まだ、口の中に味が残ってるー

流しの方から元気のない声が聞こえ、
新たに食べた人も
初めのうちこそ


意外と大丈夫ですよ


けれど十秒後には


すいません、やっぱり…


流しに向かう。



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そんなに酷い味なのかと思うと
逆に食べてみたくなるのが
不思議なもので
私も一粒食べてみた。



いざ、口の中へ。


ねっとりしてる。
何か、もう、この食感だけで
ごめんなさい。

噛む勇気が湧いてこなかったので
そのままゆっくり、
あまり唾液が出ないように
舌の上で転がしていた。

確かに昆布みたいな
旨みみたいな、
甘さは控えめで、
塩気はないような、
ミントみたいなスッとする、
なんだこれ。



すみません、ごめんなさい。


耐え切れず
ティッシュに包んでゴミ箱へ。
流しでコップに水を汲み
口をすすぐけれど
味と匂いがとれずに残っている。


「友達はどうしてこんなものを」
「ネタで」






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